こまこまぶろぐ

妻一人、息子二人と暮らす父親の奮闘記

#101 【書評】幸福の資本論

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どうもこまこま(@komakoma41)です。

 

ようやく幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」を読了したので感想を記事にします。

 

人生の幸福論を金融資産、人的資本、社会資本の3本柱で構成される「3つの資本」から論じてあり興味深い内容でした。

 

過去にも

新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ (幻冬舎文庫)

を読んだ時にも感じたのは筆者の圧倒的な経済的知識に基づく現代日本に横たわる歪みを理路整然と説明してる鋭い視点です。


人はみんな生まれながらにしてすでに平等ではありません。

天皇家に生まれた子供と親が誰なのか分からずに生まれた子供が平等な条件で生を受けたと言えるでしょうか。

お金持ちの親とその日暮らしの親のどちらがいいか子供は選択することは出来ないので、成長する過程は全く違う環境となります。

 

人生の与条件は生まれながら人それぞれで違っているのが事実です。

それはある意味不平等と言えるかもしれません。

でもそれを悲観的に捉えて愚痴ばかり言っててもじんは1ミリも変わらないのが事実です。

お金があれば幸福は人生といえるのでしょうか。それはいくらあれば幸福なんでしょうか。

一般的にサラリーマンの生涯年収は2億円といわれています。倍の4億円、宝くじで当たれば幸福な人生を歩めるのでしょうか。

 

貨幣経済のなかでは人が生きていくにはお金が必要です。しかしお金はみんなが生活しやすいように人間社会が作りだした道具でしかありません。

それがお金の本質です。

 

本の中で書かれているのですが、宝くじが当たった人は金融資産は一時的に多く所有します。一時的に幸福感を得ることになりますが、しばらくして人的資本と社会資本をすべて無くします。なぜなら友人や親戚など周囲の人がほっとくわけがないのは誰でも想像できると思います。

さらに悪銭身につかず、

もともと自分で稼いでる資産でもなく資産を防衛する訓練をしていないため金融資産を含めて全ての資本を失ってしまいます。

概ね高額宝くじ当選者の末路です。

みなさん宝くじが当たっても幸せにはなりませんよ(別に私がかつて当選した訳ではありませんが…)。

お金自体をたくさん所有してるので全て満たされて幸福になるというのは幻想です。

 

本の中で他に興味をひいたのは「セックスのデフレ化」の話です。

高学歴女子大学生でも親からの支援が不足して風俗でお金を稼ぐ女性がいるし、全ての資本がないシングルマザーが人的資本を使って風俗で働いても時給が安くて昔ほど生活の糧にならないらしい。

 

資本主義自由経済が生み出している裕福さと貧困さの二極化の歪みのひとつと言えるかもしれません。こういった切り口の話が堂々と書かれているところは橘先生らしいところ。

 

社会資本のひとつ、地元の友達とのつながりから充実した生計をたてる人生パターンが紹介されています。ぜひこの本を読んで学んでください。

 

日本の企業が採用してきた終身雇用、年功序列の制度は機能してきたが現在は企業の成長の足かせの象徴としてよく言われています。

テクノロジーや経済の変化が激しい環境下でトヨタの社長でさえ終身雇用はもう守れないとカミングアウトしました。

 

今後、仕事の内容はクリエイティブな仕事とマックジョブ的な仕事に大きく分かれていくと筆者の主張。

 

現代の就活でワード、エクセル、パワポはできて当たり前、英語はTOEIC700点以上、コミュニケーション能力があってKY力があって空気も読めるような高機能な人材を企業は求めています。

そもそも現在の大学側はそのような人材を生み出すプログラムを備えていないため、企業側が社内教育を充実させているところ。

大企業もパワハラやセクハラが横行していることが表面化して、有名な大手広告代理店の女子社員が入社後まもなく自殺しました。

そこで本人が残していた言葉が衝撃的で、

「生きているために働いているのか、働くために生きているのかわからなくなった」とSNSで投稿して自殺しています。

 

そこまで追い込まれても会社以外の世界に目を向けることができなかったことが惜しまれてなりません。

この事件が社会問題化して働き方改革のトリガーになりました。

 

自分が働いている職場でもブラック化した自分の労働環境を漫然とこなしている姿をまだ目にします。

上司はその姿を見て見ぬふり。

真面目な人は責任感が強いため頑張りますが健康には是非留意して欲しいと願うばかりです。

自分の身体は自分で守るしかありません。

 

以上こまこまでした。